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俳優の教科書コラム

コラム
2021.07.19

#008 俳優の自己紹介はA、Bの両面が必要

多くの俳優が自己紹介で苦労しています。
他人を演じる芝居のことならまだしも、なぜ自分自身のことでこれほど苦労するのでしょうか?
1つに自分のことを1人の俳優として客観的に認識できていない点があります。

自己紹介で伝えるべきことを「A面」「B面」に分けて考えてみましょう。
A、Bは表と裏と言ってもいい。いずれにせよ、両面とも大切です。

まずはA面(表)からお話しましょう。
A面-分かりやすくいうとスペックですね。

俳優が誰かに自己紹介をする場面はたいていオーディションの時です。
映画や演劇など作品のキャスト選考もあれば、芸能事務所の採用選考もあります。

作品の選考であれば、監督やプロデューサーはキャストに対して具体的な役のイメージを持っています。事務所の採用選考の場合は、社長やマネージャーは、今後ビジネスとして売りだせるだけの能力や思考が俳優にあるかどうかの判断をしています。
俳優の皆さんは、自己紹介を聞く側の人たちの目的や気持ちをどこまで具体的に把握できているでしょうか?

「俳優を志した理由」「普段取り組んでいる努力」「将来の夢」などを、限りある自己紹介の時間の中で、延々と語る俳優がいます。こういう方の熱い思いや気持ちはとてもよくわかるのですが、自己紹介を聞く人の立場からすると、自分たちの目的を完全に無視されていると感じてしまいます。オーディションはたいてい、数百人規模の人数を長時間かけて審査しますから、運営側の事情も多少配慮してあげる必要があるでしょう。自己紹介に使える時間は1分がベストだと考えたほうがいいですね。

あなたは何ができる俳優なのか。聞き手が自己紹介の中で一番知りたいことです。なるべく具体的なキーワードを1分間の中に詰め込みましょう。そして、自己紹介を聞いた人たちが、明確な登場人物を想像できたり、対外的に営業できるイメージを持てたりできるように、正確に伝えてあげる技術が必要です。A面は個別の指導を受けたり、本番に向けた訓練でそれなりに上達することができます。

次にB面(裏)の話をしましょう。

B面は俳優の人となりとでも言いましょうか。内面ですね。
A面のスペックのように直前に練習して上手く伝えられるようになるものではなく、そもそも情報として伝えられることでもありません。普段から皆さんが、俳優として、表現者として、人間として、どのようなことに興味を持ち、向き合い、考えているのか。そういったことが、俳優との対話の中で垣間見れる、もしくは俳優の言葉から滲み出てくればいいな、と自己紹介を聞いている側の人たちは内心思っています。演技力をみる時に期待しているものに近いですね。

B面は誰かの指導を受けるというよりも、普段の自分との向き合いによる影響が大きい。鍛え方としては、以前このコラムの#006でお伝えした、インプットの話がとても重要なので、是非そちらをお読みいただければと思います。

#006 俳優訓練におけるイン・アウトの配分法則

以上、俳優の自己紹介におけるA面、B面のお話でした。

◆筆者:三谷一夫
映画24区代表・映画プロデューサー。関西学院大学を卒業後、金融業界を経て、映画会社に転身。『パッチギ!』『フラガール』を生んだ映画会社の再建に関わる。2009年に「意欲的な映画づくり」「映画人の育成」を掲げて映画24区を設立。直近のプロデュース参加作品に映画『21世紀の女の子』『ぼくらのレシピ図鑑』シリーズなど。著書に『俳優の教科書』 『俳優の演技訓練』がある。2020年秋より映画を志す俳優を支援するサービス『映画俳優スタートアップONLINE』を開始。twitter FB

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